みんなの共働き投資ログ

リアルケーススタディ:夫婦の一方がキャリアチェンジ・早期リタイア希望時、共働き投資戦略はどう変わるか

Tags: 共働き投資, キャリアチェンジ, 早期リタイア, ポートフォリオ戦略, ライフプラン

共働き夫婦の資産形成は、お二人の収入を柱として比較的安定的に進められる一方で、どちらか一方の働き方が変化する可能性も考慮に入れておく必要があります。特に40代後半ともなりますと、キャリアの転換期を迎えたり、あるいは早期リタイアを具体的に検討し始めたりする方もいらっしゃるでしょう。こうした働き方の変化は、世帯全体の収入や将来計画に大きな影響を与え、ひいてはこれまでの投資戦略の見直しを迫る重要な要因となります。

共働き夫婦の場合、一方の収入減少や消失をもう一方がカバーしやすいという側面がある一方で、夫婦それぞれの資産状況やキャリア観が異なるため、変化への対応策や投資戦略の調整について、しっかりと夫婦間で協議し、共通認識を持つことが不可欠です。今回は、リアルなケーススタディを通して、夫婦の一方がキャリアチェンジや早期リタイアを希望・実行する際に、共働き夫婦の投資戦略をどのように見直し、対応していくべきかについて考察いたします。

なぜ働き方の変化が投資戦略に影響を与えるのか

夫婦の一方の働き方が変化すると、主に以下の点において、これまでの投資戦略に影響が及びます。

ケーススタディ:働き方の変化と投資戦略の調整

具体的な状況を想定し、共働き夫婦がどのように投資戦略を調整すべきかを見ていきます。

ケース1:夫(または妻)が会社を辞め、独立・転職活動に入る場合

例えば、夫が長年勤めた会社を辞め、自身の事業を始めるために準備期間に入ったり、異業種への転職を目指して一時的に無職になったりする場合です。妻は引き続き現在の仕事を継続します。

ケース2:夫(または妻)が早期リタイアを希望・実行する場合

夫が50代前半で会社員を辞め、今後の生活は妻の収入とこれまでの貯蓄・投資資産で賄っていきたい、いわゆるFIRE(Financial Independence, Retire Early)を目指す、あるいは趣味や地域活動に専念するために早期リタイアを実行する場合です。妻は仕事を続けるか、あるいは時期をずらして自身もリタイアする計画かもしれません。

共働き夫婦で取り組む意義とプロセス

夫婦どちらかの働き方変化は、共働き夫婦にとって、お互いのキャリア観、ライフプラン、資産状況について深く話し合い、今後の「世帯」としての方向性を再確認する絶好の機会となります。

  1. 変化の予兆段階からの対話: キャリアチェンジを検討し始めた、早期リタイアに興味がある、といった段階から、夫婦で率直な気持ちや考えを共有します。
  2. 現状の正確な把握: 夫婦それぞれの収入、支出、保有資産(口座別、資産クラス別)、負債などをリストアップし、世帯全体の現状を正確に「見える化」します。資産管理ツールなどを活用すると効率的です。
  3. 働き方変化後の計画共有と合意形成: 変化後の収入見込み、必要となる生活費、将来の目標(いつまでにいくら必要か、どのような生活を送りたいかなど)について、夫婦で共有し、現実的な計画を立てます。
  4. 共同でのリスク許容度再評価: 変化後の収入や資産状況を踏まえ、世帯としてどの程度のリスクを取れるか、夫婦で話し合い、合意します。
  5. ポートフォリオ調整の議論と決定: リスク許容度や将来計画に基づいて、具体的な資産配分の変更や積立額の調整について議論し、決定します。
  6. 定期的な進捗確認と見直し: 働き方変化後も、資産状況や市場環境を定期的に確認し、必要に応じて計画を見直します。特にリタイア後は、年間計画に基づき取り崩しを進め、資産残高を把握することが重要です。

まとめ:変化を機会に変える共働き夫婦の協働

夫婦の一方のキャリアチェンジや早期リタイア願望は、共働き夫婦の資産形成において無視できないターニングポイントです。しかし、これを危機として捉えるのではなく、夫婦で協力して資産状況やライフプランを見直し、より強固な基盤を築く機会とすることができます。

重要なのは、変化が現実となる前に、あるいは変化の初期段階から、夫婦で率直な対話を行い、お互いの考えや状況を深く理解し合うことです。その上で、世帯全体としてのキャッシュフロー、リスク許容度、将来計画を再評価し、具体的な投資戦略の調整や資産取り崩し計画の策定を共同で行います。

共働き夫婦は、別々の資産を管理していることも少なくありませんが、こうした大きなライフイベントに際しては、夫婦それぞれの資産を統合的に捉え、「世帯」としての全体最適を考える視点が極めて重要となります。定期的な夫婦会議を設け、資産状況や計画の進捗を確認し合う習慣を持つことで、変化の荒波を乗り越え、長期的な資産目標の達成に着実に近づくことができるでしょう。