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『親からの贈与』を考える共働き夫婦の投資戦略:税金、夫婦の役割、賢い活用法

Tags: 贈与, 投資戦略, 共働き夫婦, 税金対策, 資産形成

はじめに

共働きのご家庭にとって、日々の収支管理や将来に向けた資産形成は重要な課題であり、多くの皆様が様々な投資に取り組んでいらっしゃるかと存じます。そのような中で、ご自身の親御様や配偶者の親御様から、思いがけずまとまった資金の贈与を受ける機会があるかもしれません。

親からの贈与は、教育資金や老後資金といったライフイベントに向けた資産形成を加速させる貴重な機会となり得ます。しかし、単に受け取った資金を消費するのではなく、夫婦でその使い道を慎重に検討し、特に投資に回すことを考える際には、税金や夫婦間での目標共有、そして資産全体における位置づけなど、考慮すべき点が複数存在します。

本記事では、共働き夫婦が親からの贈与を受けた際に、どのようにその資金を投資に繋げ、賢く活用していくかについて、税金の基本から夫婦間のコミュニケーション、具体的な戦略まで掘り下げて解説いたします。

親からの贈与と贈与税の基本

まず、親からの贈与に関連する基本的な税の知識を整理します。贈与税は、個人から財産を贈与された場合に課される税金です。理解しておくべき主なポイントは以下の通りです。

親からの贈与を考える際には、これらの制度を理解し、ご自身の状況や今後の資産計画に照らし合わせて、どの制度を利用するのが最も効果的か、または暦年贈与の非課税枠をどう活用するかを検討することが第一歩となります。夫婦それぞれが両親から贈与を受ける可能性もあるため、夫婦それぞれの実家の状況や意向も踏まえて検討を進めることが重要です。

贈与された資金を投資に回す意義と夫婦間の合意形成

贈与された資金を単に日常の消費に充てることも可能ですが、共働き夫婦が教育資金や老後資金といった長期目標を持つ場合、この資金を投資に回すことは非常に有効な選択肢です。投資によって資金を増やすことができれば、目標達成時期を早めたり、目標金額を上積みしたりすることが期待できます。

ここで重要になるのが、夫婦間の合意形成です。贈与を受けた本人だけでなく、夫婦でこの資金をどのように活用するかを話し合い、共通の認識を持つことが不可欠です。

夫婦でこれらの点を話し合い、共通の戦略を立てることで、後々の誤解や不満を防ぎ、夫婦協力して資産形成に取り組む体制を強化することができます。共働き夫婦の場合、それぞれが自身の親から贈与を受ける可能性もあり、その場合にどう扱うかといったルールを決めておくことも有効です。

贈与資金を組み込む投資戦略の検討

夫婦で贈与資金の使い道を投資にすることに合意した場合、次に具体的にどのように投資ポートフォリオに組み込むかを検討します。

リアルな事例:贈与資金を活用した共働き夫婦の投資

ここでは、架空の事例を通じて、共働き夫婦が贈与資金をどのように投資に繋げたかを見ていきます。

事例:Aさんご夫婦(40代後半)

ご夫婦ともに会社員で、お子様は高校生と中学生がいらっしゃいます。主に投資信託での積立投資と、夫が勤務先の企業型DC、妻がiDeCoを活用しています。ある年、妻の父親から暦年贈与の非課税枠(110万円)いっぱいの贈与を受けました。

ご夫婦で話し合った結果、この資金を教育資金の準備に充てることを決定しました。NISA枠がまだ残っていたため、夫婦それぞれのNISA口座で国内外の株式に連動するインデックスファンドを買い増しすることにしました。これにより、既存の積立投資に加え、一時的な資金で資産を拡大し、高校生のお子様の大学入学までに資金が増えることを期待しました。

また、翌年以降も暦年贈与が続く可能性も考慮し、夫婦で「受け取った贈与資金は、可能な限り非課税枠や長期投資に回す」というルールを共有しました。これにより、突然の贈与に慌てることなく、夫婦共通の資産形成目標に向かって資金を活用できる体制が整いました。

事例:Bさんご夫婦(50代前半)

ご夫婦ともに会社員。お子様は既に社会人になり、教育費のピークは越えましたが、夫婦の老後資金準備が喫緊の課題でした。夫の父親から、相続時精算課税制度を利用して、築古マンション購入資金の一部として1,500万円の贈与を受けました。

ご夫婦は以前から不動産投資に関心があり、この贈与資金を頭金として活用することを検討しました。話し合いの結果、賃貸需要が見込める都心部の築古マンションを夫婦共有名義で購入することを決定。夫婦で不動産投資セミナーに参加したり、専門家からアドバイスを受けたりしながら、物件選定を進めました。

購入後は、家賃収入を夫婦の共有資産とし、管理費や修繕積立金などの支出も夫婦の話し合いで対応しました。この事例では、贈与資金をきっかけに、それまで躊躇していた資産クラスへの投資を実行し、ポートフォリオの分散と新たな収入源の確保を実現しました。ただし、不動産投資特有のリスクや、夫婦共有名義にした場合の税務上の考慮点(確定申告や将来の相続など)についても事前に十分に理解し、計画を進めたことが重要です。

これらの事例はあくまで一例ですが、贈与資金の金額や夫婦のライフステージ、目標に応じて、様々な活用法があることを示唆しています。

税金対策と将来への影響

贈与資金を投資に回す際には、贈与税だけでなく、投資で得た利益にかかる税金(所得税・住民税)や、将来の相続税への影響も考慮する必要があります。

専門家(税理士など)に相談することで、ご自身の状況に合わせた最適な税金対策や、贈与・相続を含めた総合的な資産計画について具体的なアドバイスを得られるでしょう。

まとめ:贈与を夫婦共通の資産形成機会に

親からの贈与は、共働き夫婦の資産形成を力強く後押しする可能性を秘めています。しかし、そのメリットを最大限に享受するためには、単に資金を受け取るだけでなく、以下の点を意識することが重要です。

親からの贈与をきっかけに、夫婦で改めてお互いの資産状況や将来の目標について深く話し合い、協力して資産形成に取り組むことは、夫婦の信頼関係を深め、より確実な未来を築くことに繋がるでしょう。この機会を、夫婦共通の資産形成を加速させるためのステップとして積極的に活用されることをお勧めいたします。